筋膜とは
一見すると,大きな肉の塊に見える筋肉ですがその構造は実に繊細です。
筋肉の最小単位は太さ1μm程の【筋原繊維】と呼ばれる構造で、この筋原繊維が集まってできた【筋線維】が、さらに幾層にも重なって【筋線維束】という構造を作り、この筋線維束同士が結合組織によって繋がって筋肉を構成しています。
この筋肉の表面を包む薄い膜状組織を慣用的に筋膜と呼びますが、実際には上記に示した構成成分の一つ一つが膜状組織で覆われており、これらも筋膜の一つです。
※筋原繊維を包む膜は【筋内膜】、筋繊維の束を包む膜は【筋周膜】、筋繊維束のまとまりを包む膜は【筋外膜】と呼ばれます。
加えて、近年では周囲の皮下組織など、筋肉の周りに存在するあらゆる結合組織、さらには腱、靭帯、脂肪、胸膜などに存在する結合組織のことも筋膜に含めるようになりました。このことから、【筋膜】という日本語では本来の意味を表現し切れない為、近年は英語表記に併せて筋膜のことを【ファッシア(fascia)】と呼ぶようになっています。
筋膜が痛みを発するメカニズム
筋肉における筋膜の役割は大きく二つです。一つは、筋肉を包んで保護すること、もう一つは、隣り合う筋肉が収縮する際に滑りを良くすることです。
怪我や無理な姿勢の連続で筋肉に炎症が生じると、筋膜内のコラーゲン繊維に変化が生じ、筋膜同士に癒着が生じて筋肉の動きが制限されるようになってしまいます。
デスクに座って同じ姿勢のままPC作業を続けると、長時間に渡って動かさなかった筋肉に炎症が生じ、遂には内部構造が破壊されてしまいます。
炎症物質にさらされる内に、筋線維と筋膜がくっついてしまいます。
本来であれば潤滑剤として作用するはずの筋膜が筋線維に張り付く事で、筋肉の動きは著しく悪くなり、次第に血流障害が生じて固く縮こまっていきます。そうすると、炎症物質が血管から外に押し流されなくなってしまうので、いつまで経っても炎症物質が筋肉内に蓄積し、炎症が改善しない状態になってしまいます。
つまり頑固な肩こり・腰痛の大半が、動かない(動かさない)時間が長すぎることに起因する筋線維の破壊と血流障害によるものなのです。
更に、筋肉・筋膜内には近く神経が数多く存在する為、炎症が続くと知覚神経が刺激され、慢性的な痛みの原因となります。
吸い玉(カッピング)
専用のカップを皮膚に吸いつかせ、カップと皮膚の間の空気を抜いて行うやり方です
カップの空気を抜き吸い上げることで、使っていない血管に血液を送り血流を良くし、自律神経を整え慢性疲労・不眠などにも効果があります。
IASTM
ステンレス製の器具を使い、筋膜が癒着した部位のコラーゲン繊維の粘性の変化を起こし正常な動きを取り戻し、痛みの除去、動きの改善に効果があります。
FCM(ファンクショナルカッピング)
シリコン製のカップを使い施術します。
吸い玉と同じように吸い付ける施術ですが、シリコン製のカップを使用し、カップを動かしたり、付けたまま関節を動かすことで関節可動域の改善、痛みの軽減に有効です。